カード、カード、カード! [Bistro FLIP Vol.3]

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大喜利料理ゲーム『ビストロ・フリップ』の制作裏話:第3回

文・写真:前田弘志(チームリーダー)

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『ビストロ・フリップ』のコンポーネント企画をしているとき、スタッフの間で「絶対に入れたいね」と話し合っていたのは、実はベルでした。プレイヤー同士の「チリンチリン、オーダー!」「ウィ・ムッシュー!」っていうやりとりをゲームに組み込みたかったんです。それから、わがままなお客さまのむちゃぶりオーダーをしてもらいたいから、フリーワードで書けるホワイトボード的なものとペンも「必須だね」ということになり、まぁ、コスト高要素が満載になっていったわけです。それでもクラウドファンディングでご支持をいただき、商品化が実現できたのは、本当にありがたいことです。

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コストのことはさておき、ベルやペンといった「演出的」なコンポーネントって、決して無駄なものではなくて、ゲームプレイの楽しさに関わる大切なものだと私たちは考えています。とはいえ、このゲームでやっぱり肝心なのはカードですよね。なんたって、料理をネタに大喜利をやろうっていうわけですから、食材やこだわりワード、仕上げの料理が、組み合わせになったときに、おもしろくならないと本末転倒になっちゃいますもん。

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マイルドめな「通常版」と、攻めた「拡張版」

『ビストロ・フリップ』には「通常版」と、「拡張版(通常版+拡張カードのセット)」があります。通常版は最初にリリースした初版になりますけども、食材もワードも穏やか目といいますか、マイルドめといいますか、そういうカードセレクションになっています。通常版のカード数は147枚。カードの企画段階での候補数は、当然ですが、テキストマイニングもどきな技術も駆使しつつになりますので、相当な数(明らかにダメなやつも含めたら千はゆうに超える)にのぼります。その中から「どなたが遊んでも、笑顔になれるように」という意図で絞り込みました。

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食材カード(拡張版プラン時の試作より。※製品版とはデザインが異なります)

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「拡張版(拡張カード)」では、毒気といいますか、通常版のマイルドさにスパイスを効かせるものにしたいと考えました。クセのある食材(ワニ、ドリアン、カタツムリ、納豆などなど)とか、ちょっと変なワード(狂ったように、デリバリーした、誰も知らない、かわいいなどなど)とかですね。かなり攻めたカードセレクションになっています(ある程度の節度はキープしつつ)。ですから、通常版に拡張カードを混ぜてプレイしてもらうと、大喜利度はかなりアップすると思います。

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シェフのこだわりカード(拡張版プラン時の試作より。※製品版とはデザインが異なります

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料理のキラーカードは、どれだ!?

「拡張版(拡張カード)」の企画段階では、思い切ってBoardGameGeek(BGG)のフォーラムで食材や料理のアイディアを募ってみたんですね。まずは会員登録するところから始めたんで、最初は全然訳分からん状態でしたけど、何とか投稿する場所を見つけて、「そこでは自作を宣伝しちゃいかん」というルールも教えてもらいつつ、「料理ゲームのカードを企画してるんだけど、あなたの国のユニークな食材や料理を教えてくれませんか?」って問いかけてみたんです。そうしたら、世界中から、まぁ、来るわ来るわ、我が国の郷土料理自慢やら、ゲテモノ(?)自慢やら、栽培品種自慢やら。画像付き・詳細リンク付き・解説付きとさまざまで、みなさん、ホント親切というか何というか、ゲーマーのパワーに圧倒されました。

例えば、オーストラリアとニュージーランドから、それぞれ「土に埋めて焼く」先住民族の料理が推薦されたのですが、お互いに「自分の国の方が・・・」みたいな自慢の応酬(?)があったり、中欧や中東からは見たことも聞いたこともない食材や料理のオンパレードだったり、東南アジアからは「ウチの国の定番は、チョコ味のおかゆ」(←これは絶対ウマいはず!)」だったり。

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料理カード(拡張版プラン時の試作より。※製品版とはデザインが異なります

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ゲームの特性上、特定の食材じゃないと成立しない料理は使えないので(例えば、私たちの地元のジンギスカン=羊肉が必須)、みなさんに挙げていただいた全部はカードに採用できないわけですが、国・地域のバランスを取りつつ、最終的にはおもしろいセレクションができたと思います。
土に埋めて焼く料理は「地中焼き」として採用、他にも「スムージー」「フォンデュ」「干してみた」などなど、そして私たち、素材を大切にする日本人のココロで「そのまま」を採用しました。

さてさて、あなたにとってキラーカードになるのは、どれでしょう?

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今回も、どうでもいいような話にお付き合いいただき、ありがとうございました。
最後に商品の宣伝を。

日本国内は「通常版」と「拡張カードセット」が販売中

ビストロ・フリップ 拡張版(国際版)フルセット

現在国内では、オリジナルエディションの「通常版」と、Kickstarterで製品化された「拡張カードセット」がお求めいただけます。
「通常版(147枚)」に「拡張カード(75枚)」を足していただくことで、総カード数222枚のビストロ・フリップ拡張版(国際版)フルセットとなります。

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[Bistro FLIP コラム] 各話へのリンク

Vol.1:バナナムーンの定番ゲーム『ビストロ・フリップ』誕生秘話
Vol.2:か、かなりシュールな動画では!?
Vol.3:カード、カード、カード!