ペーパークラフトの匠、田所眞行さんのこと — Bossa / 坊茶コラム 1

:::

文・写真:前田弘志(Bossaチームリーダー)

:::

:::

Bossa / 坊茶のクラウドファンディング(2022年3月24日〜4月13日/Kickstarter)は、おかげさまで予想をはるかに上回る反響で、北米・中南米、欧州、中近東、アジア、オセアニア、アフリカの300人以上のバッカーのみなさまからご支援をいただき、1,420%達成にて商品化が実現する運びとなりました。この連載コラムでは、これまでKickstarter上に投稿してきた記事を再構成し、改めてBossaに関するちょっと深めのお話をさせていただきたいと思います。

今日は、私たちが信頼し尊敬する匠、田所眞行さんについて。 田所さんは、高度な技術と芸術性を持つペーパークラフト職人です。「クラシック版」のドットタイルとアクションマーカーは、彼と彼のチームがひとつひとつ手作業で作っています。 そして、非常に高い技術と繊細な作業が要求される「匠のアート版」は田所さんご本人だけが作ることができます。

:::

田所さんのチームで作られるクラシック版のタイル

:::

田所さんだけが作ることができる「匠のアート版」(水)

:::

「匠のアート版」は断面の美しい9層構造(花)

:::

なぜ、こんなすごいペーパータイルを作ることができるのか

答えはシンプルで明快。高度な技術と繊細な手仕事が要求されるアーティスティックな仕事の経験が豊富だからです。 一部は、私(前田弘志・Bossaチームリーダー)も関わっていて、それは誇りに思います。 私はもともとグラフィックデザイナーで、25年にわたり田所さんと一緒に仕事をする機会が多くありました。中にはデザイン賞を受賞した作品もあります。 また、私がデザイン賞の審査員を務めた際には、受賞者に贈るトロフィーを無茶な仕様でデザインし、それを彼が実物に仕上げてくれることが何度もありました。 そんな彼との長年の信頼関係があったからこそ、Bossaの「クラシック版」と「匠のアート版」の制作を迷わずお願いすることができたのです。

:::

数千枚もの色紙のレイヤーで作られたデザイン賞のトロフィー。デザイン:前田弘志、ペーパークラフト:田所眞行

:::

Bossaチームリーダー 前田弘志(左)、ペーパークラフト職人 田所眞行(右)

:::


動画:Bossa / 坊茶「匠のアート版」- ペーパークラフト職人の工房にて

:::

色ずれの全くない箔押し技術

Bossaのタイルのドットは、黒と白の2色の箔押しです。 一般的な技法では、2つの版で2回に分けて箔を押すため、白と黒のドットは多少なりともずれてしまいます。 でも、Bossaでは全くずれがありません。 黒ドットと白ドットが正確な位置関係になるように、1つの版で一度に2色の箔押しをするからです。

:::

:::

そのため、白ドットになるべき場所だけに白箔の小さなピースを置いていきます。ピンセットを使ったとても繊細な作業です。その上に黒箔のシートを重ね、プレスします。

:::

:::

:::

その後、箔のシートを剥がします。白箔の小さなピースはピンセットで剥がしていきます。傷つけないように細心の注意が必要な作業です。

:::

:::

紙のレイヤーを手の感触で作る

色違いの染色ペーパーを重ねて貼り合わせます。「クラシック版」は2層、「匠のアート版」は9層重ねます。手作りの専用ツールを使い、タイルの断面がフラットになりすぎないよう、心地よい手触りの「ずれ」ができるよう微調整しながら貼り合わせます。この繊細な感覚は田所さんならではのものです。

:::

:::

もう少し深い話をすると、紙には方向と表裏があって、これらをすべて同じ向きで貼り合わせてしまうと、必ず歪んでしまいます。 どのような組み合わせにしたら良いのか。それを見つけることは簡単なことではありません。 試行錯誤を繰り返し、ようやく解決法にたどり着くのです。

:::

:::

出来上がったタイルの検品

完成したタイルを検査します。ルーペを使って1枚1枚詳細にチェックします。合格したタイルだけが箱詰めされます。

:::

:::

:::

1日2セット?  本当に貴重!

これだけの職人技と手間ひまをかけて、1日に何セットのBossaのコンポーネントを作ることができるか想像できますか?
彼のチームが作る「クラシック版」は数十セット、田所さんにしか作れない「匠のアート版」はなんとたった2〜4セットなのです。 それはまさに「匠のアート」、本当に貴重だと思いませんか?

:::

クラシック版

:::

匠のアート版“水”

:::

匠のアート版“花”

:::

読んでくださりありがとうございました。そして、私たちのプロジェクトへのご支援にも改めて感謝申し上げます。

Bossaがあなたの貴重なコレクションの一部になり、末永くゲームを楽しんでいただければ幸いです。

:::

前田弘志(チームリーダー)

:::

Bossa / 坊茶コラム バックナンバー(リンク)

:::

Bossa/坊茶 bananamoon-games.jp