スタイリッシュな2人対戦ゲーム『Bossa / 坊茶』のお話:第16回
文・写真:前田弘志(Bossaチームリーダー)
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日本の職人がひとつひとつ手作りする、Bossa「匠のアート版」シリーズと「クラシック ネオ/クラシック版」。実は、完成品の約90%が海外へ出荷されています。今回のコラムでは、国内のみなさまにも、それらがどのように手作りされているのか、その作業がいかに繊細・丁寧かつ手間ひまがかかり、高品質を実現しているのかといったことをお伝えできればと思います。
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まずは、重要なキーパーソンをひとりご紹介させてください。私たちが信頼し尊敬する田所眞行さんです。 田所さんは、高度な技術と芸術性を持つペーパークラフト職人です。「クラシック ネオ/クラシック版」のドットタイルとアクションマーカーは、彼と彼のチームがひとつひとつ手作業で作っています。 そして、非常に高い技術と繊細な作業そしてアーティスティックな感覚が要求される「匠のアート版」は田所さんご本人でなければ作ることができません。
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田所さんのチームで作られるクラシックシリーズのタイル(左:クラシック版、右:クラシック ネオ版)
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田所さんだけが作ることができる「匠のアート版」(上の写真は“水”)
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「匠のアート版」は断面の美しい9層構造(上の写真は“花”)
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2023年の新エディション「匠のアート版“雪”」のドットタイル:半反射性の少しシルバーがかったライトブルーの表面は、角度によってさまざまな表情を見せる
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なぜ、こんなすごいペーパータイルを作ることができるのか
答えはシンプルで明快。高度な技術と繊細な手仕事が要求されるアーティスティックな仕事の経験が豊富だからです。 一部は、私(前田弘志・Bossaチームリーダー)も関わっていて、それは誇りに思います。 私はもともとグラフィックデザイナーで、25年にわたり田所さんと一緒に仕事をする機会が多くありました。中にはデザイン賞を受賞した作品もあります。 また、私がデザイン賞の審査員を務めた際には、受賞者に贈るトロフィーを無茶な仕様でデザインし、それを彼が実物に仕上げてくれることが何度もありました。 そんな彼との長年の信頼関係があったからこそ、Bossaの「クラシック版」と「匠のアート版」の制作を迷わずお願いすることができたのです。
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数千枚もの色紙のレイヤーで作られたデザイン賞のトロフィー。デザイン:前田弘志、ペーパークラフト:田所眞行
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Bossaチームリーダー 前田弘志(左)、ペーパークラフト職人 田所眞行(右)
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ペーパークラフトの匠の仕事ぶり
田所さんの丁寧な仕事ぶりを2分間の動画でご覧ください。
動画:Bossa / 坊茶「匠のアート版」- ペーパークラフト職人の工房にて
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色ずれの全くない箔押し技術
Bossaのタイルのドットは、黒と白の2色の箔押しです。 一般的な技法では、2つの版で2回に分けて箔を押すため、白と黒のドットは多少なりともずれてしまいます。 でも、Bossaでは全くずれがありません。 黒ドットと白ドットが正確な位置関係になるように、1つの版で一度に2色の箔押しをするからです。
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1つの版で一度に箔押しするために、白ドットになるべき場所だけに白箔の小さなピースを置いていきます。ピンセットを使ったとても繊細な作業です。その上に黒箔のシートを重ね、プレスします。
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その後、箔のシートを剥がします。白箔の小さなピースはピンセットで剥がしていきます。傷つけないように細心の注意が必要な作業です。
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紙のレイヤーを手の感触で作る
色違いの染色ペーパーを重ねて貼り合わせます。「クラシック版」は2層、「クラシック ネオ版」は3層、「匠のアート版」は9層重ねます。手作りの専用ツールを使い、タイルの断面がフラットになりすぎないよう、心地よい手触りの「ずれ」ができるよう微調整しながら貼り合わせます。この繊細な感覚こそが田所さんならではのもので、「匠のアート版」が「THE ART(英語名)」であるゆえん。目に見える美しさだけでなく、触ったときの感触までもがアートなのです。
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もう少し深い話をすると、紙には方向と表裏があって、これらをすべて同じ向きで貼り合わせてしまうと、必ず歪んでしまいます。 どのような組み合わせにしたら良いのか。それを見つけることは簡単なことではありません。 試行錯誤を繰り返し、ようやく解決法にたどり着くのです。
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出来上がったタイルの検品
完成したタイルを検査します。ルーペを使って1枚1枚詳細にチェックします。合格したタイルだけが箱詰めされます。
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職人手作りの5バージョン
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クラシック ネオ版(右)、クラシック版(左)
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2023年の新エディション、匠のアート版“雪”
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匠のアート版“水”
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匠のアート版“花”
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1日2セット? 本当に貴重!
これだけの職人技と手間ひまをかけて、1日に何セットのBossaのコンポーネントを作ることができるか想像できますか?
彼のチームが作る「クラシック版」「クラシック ネオ版」で最大15セット程度。そして、田所さんにしか作れない「匠のアート版」は、なんと1日にたった2〜4セットなのです。 それはまさに「匠のアート」、本当に貴重だと思いませんか?
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匠のアート版には、ひとつひとつシリアル番号証が発行され、箱に同梱されている
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今回も読んでくださりありがとうございました。そして、私たちのプロジェクトへのご支援にも改めて感謝申し上げます。Bossaがあなたの貴重なコレクションの一部になり、末永くゲームを楽しんでいただければ幸いです。
前田弘志(Bossaチームリーダー)
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関連参照動画
Bossa各エディションのタイル比較動画:仕様(サイズ、厚さ、素材、印刷方式)の違いをご確認いただけます。
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Bossa各エディションのタイルの「音」比較動画:裏面の素材やサイズ、レイヤー構造によりタイルが出す「音」の違いをご確認いただけます。※注:匠のアート版“雪”は”花”と同じ裏面素材のため、ほぼ同じ音が出ます。
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「匠のアート版」のタイル耐久性動画:匠のアート版の強度について、いくつかの実験をしてみました。※注:匠のアート版“雪”は”花”と同じ素材と加工ですので、同等の強度になります。
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Bossa / 坊茶の新バージョン
「匠のアート版“雪”」「クラシック ネオ版」「拡張キット」は公式ショップ限定発売!
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Bossa / 坊茶 コラム 各話へのリンク
- Vol.16:ペーパークラフトの匠、その繊細で芸術的な手仕事(2023年改稿版)
- Vol.15:なぜBossaは何度も繰り返し遊べて、飽きないのか
- Vol.14:Bossa / 坊茶をオンラインで試そう!
- Vol.13:お出かけBossa:スタンダード版の魅力(2023年改稿版)
- Vol.12:ナチュラルな風合いを日常に:クラシック ネオ版の魅力
- Vol.11:2023年、Bossa / 坊茶に拡張コンポーネントが登場!
- Vol.10:美しく遊ぶ贅沢な時間:匠のアート版の魅力
- Vol.09:雪のようにキラキラする箱のお話
- Vol.08:北海道の「雪景色」をデザインコンセプトに
- Vol.07:Bossaは何度も繰り返し遊べる、飽きない。
- Vol.06:お出かけBossa:スタンダード版の魅力
- Vol.05:ナチュラルテイスト:クラシック版の魅力
- Vol.04:「匠のアート版」の耐久性ってどうなの?
- Vol.03:「匠のアート版」は、箱だって匠のアート!
- Vol.02:匠のアート版 “水”と“花”、実は手触りが違う
- Vol.01:ペーパークラフトの匠、田所眞行さんのこと
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