「物理的に」動くんです! コマの下で、盤だけが。 [GACHIJO デザイナー日記 03]

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我知城/GACHIJO =4人の忍者と秘宝の城= のお話:第3回

文:前田弘志(GACHIJO チームリーダー)

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こんにちは。我知城/GACHIJOチームリーダーの前田弘志です。
今日は、4月下旬にクラウドファンディングを開始予定の『我知城/GACHIJO =4人の忍者と秘宝の城=』の、作者的推しポイントその①「動く迷路」についてご紹介したいと思います。

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革新的な動く迷路

『我知城/GACHIJO =4人の忍者と秘宝の城=』は、動く迷路の城で知恵と忍術を駆使するトレジャーハンティングゲームです。端的に言うと、動く迷路の中で宝物をGETしていくんですね。その過程でゲーム的ないろんなことが起こるわけですが、それらについてはまた別の機会に譲るとして、とにかく今日は「動くんだ!」を強調したいんです。 ……って「別に大したことないんじゃない」と思ったあなた、このゲーム、ビデオゲームじゃないんですよ。「物理的な」ボードゲームなんです!

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コマの位置はキープしたまま!

共同制作者のマーティン・ネーデルガード・アンデルセンと私たちが実現したかったのは「コマの位置をキープしたままコマの背景でボードが動く」というギミックでした。これまでもボードが動くゲームはあったと思うんですけど、少なくともマーティンも私も知る限りでは、いずれも「ボード上のコマも動いてしまう」ものだったので、自分たちでは「我知城/GACHIJOはイノベーティブだ!」と思っています。

百聞は一見にしかず。18秒ほどの短い動画をご覧ください。

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透明シートを動かして、忍者の進路を作ろう

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各プレイヤーは、自分のターンで「忍者コマの移動」と「迷路の壁のスライド」を組み合わせて、宝物やさまざまなアイテムを取得していきます。もし固定された迷路だったら、行き止まりになったら諦めるしかありません。でも、この城の迷路はプレイヤーの忍術で動かすことができるのです。行き止まりにぶち当たっても、自分で進路を作ることができるということです。

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たくさん動けて、たくさんゲットできるとうれしい!

誰よりも早く指示された宝物やアイテムを集めて帰陣を果たすというのが、各プレイヤーの忍者に課せられた使命。自分のターンで壁のスライドがうまくいって、たくさん動けてたくさんアイテムをゲットできたらめちゃうれしいし、ヘボったら悔しい。そんな楽しさがあるゲームです。自分は効率よく動き回り、対戦相手には手間取るように仕向けたいわけですから、次のプレイヤーがスムーズに動けないような迷路配置でターンを終えることも作戦の一つになるでしょう。

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基本設計に、なんと2年!

この動く迷路、どんな仕組みになっているかというと、複数層の透明シートが重なっているのです。一番上の層は動かず、その下の2つの層(赤い壁の層と青い壁の層)だけがスライドするようになっています。だから忍者コマの位置はキープしたまま、迷路の壁だけが動くのです。

基本的な機構としてはそれほど複雑ではありません。白状すると、開発初期は「もっと簡単に作れるだろう」と、我々もちょっとナメていましたね。でも、基本設計の試行錯誤に2年もかかってしまいました。それからプレイテストに丸1年と、尋常じゃない時間がかかりました。

どんなことに「あーでもない、こーでもない」を繰り返したのかを明かすと、まず盤のマスの数(9×9から始まり、最終的に11×11に落ち着いた)、透明シートの層の数(最大6層まで試して、最終的に3層に落ち着いた)、迷路の壁の数・複雑さのさじ加減(壁が多すぎるとちょっとしかコマを動かせずイライラが募り、少なすぎるとあっけなくゲームが終わってしまう)、宝物などのアイテム配置、そしてベースとなるステージシートのデザイン(盤の絵柄=壁以外の障害物配置など、さまざまなテーマ/モチーフのものがあり、デラックス版で最大9種類*)。どれかを修正すれば、他の要素も調整の必要が出てきて、トライアンドエラーに長い時間がかかったというわけです。
*クラウドファンディングで全てのストレッチゴールがアンロックされた場合

現在、プレビュー用に公開しているゲームルールは、ドラフトバージョン7.02Jです。つまり、基本設計の大きな変更がその改訂バージョンの数だけあったという証。私たち制作陣としては、練りに練られたゲームだと自信を持って言い切れます。

ご興味を持っていただましたら、ぜひ、キックスターターで応援のほどお願いいたします。

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今回も読んでくださったみなさま、ありがとうございました!

GACHIJO チームリーダー 前田弘志

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マーティン・ネーデルガード・アンデルセン(Camp Games Aps 代表)はデンマークのゲームデザイナーで、2007年に最初の作品が出版されました。以降、世界中でこれまでに250種類以上のゲームを発表、日本でも『Bandido(バンディド/すごろくや刊)』などが出版されています。ゲームデザイナーとしての活動と並行し、1年のうち4〜7ヶ月は世界を旅し、ライターや写真家としても活躍しています。

バナナムーン・ステュディオは、北海道を拠点とする1990年創業のクリエイティブ・プロダクションで、30年以上にわたりグラフィックデザインやエディトリアルデザイン、プロダクトデザインに携わってきました。「笑顔の時間を提供するゲームづくり」をテーマに、2019年からオリジナルボードゲームの制作・出版に取り組み、バナナムーンゲームズ(Banana Moon Games)のブランド名で、これまでに15タイトル以上(バリエーション版を含む)をリリースしています。「非言語依存」「戦略と運のバランスミックス」「コンポーネントの美しい」ゲームづくりを得意とし、2022年・2023年には『Bossa(坊茶)』の国際クラウドファンディングで2,401%達成、製品を40カ国に出荷しました。